日本原子力発電(原電)が敦賀原発2号機(福井県)の新規制基準に基づく審査に使う地質データを無断で書き換えていた問題で、原子力規制委員会の審査会合が6月4日に開かれました。原電は、ボーリング調査を実施した会社の1次データの書類がない例もあることが明らかになりました。
無断書き換えは2月の審査会合で発覚。2012、15年に実施したボーリング調査結果の記録の記載が、18年11月の審査会合で、地層の状態を示す「未固結」という記載を「固結」などと変更されていました。
規制委は、原電が委託した調査会社の地質データの提出などを求めていました。
4日の会合で原電は総点検の結果を報告し、「調査会社から当社に提出された資料の内容を、当社が変更している箇所はなかった」と説明しました。これに対し規制委は、調査会社の1次データにあった断層の存在を、新規制基準への申請書案の段階で削除した箇所など「重要な論点」での変更があると指摘。また、申請書の根拠になった調査会社の書類がすでにないと原電が答える場面もありました。規制委は資料の再提出を求めました。
同原発は、規制委の調査チームが15年3月の報告書で、2号機原子炉直下を通るD―1破砕帯(断層)が、敷地内を通る活断層「浦底断層」と連動する可能性があると判断。新規制基準は活断層の上に重要施設を建てることを禁じており、原電は廃炉を迫られています。
(「しんぶん赤旗」2020年6月5日より転載)