原子力規制委員会は5月28日の定例会合で、東京電力が今年3月30日に提出した柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の保安規定変更申請について、社長の責任を明確にするなどの再検討を求めることを決めました。
保安規定は、事業者が守るべき原発の管理の対応手順や体制などを定めたもの。事業者が作成し、規制委の認可を受ける必要があります。
規制委が2017年に同原発6、7号機の設置変更を許可する際、東電が福島第1原発事故を起こした事業者であることから、原発を動かす「適格性」が問題となりました。その中で、福島第1原発の廃炉や安全性追求など7項目への回答を東電に要求しました。
東電は「安全性をおろそかにして、経済性を優先する考えはみじんもありません」などと回答しました。規制委は、回答で表明した取り組みを柏崎刈羽原発の保安規定に記載することを求め、東電の小早川智明社長もこれを受け入れたことから、許可に至った経緯があります。
規制委は、経済性よりも安全性追求を優先、不確実・不確定なリスクへの取り組みといった内容について、個別、具体的に明記することを求めるとしています。
山中伸介委員は「福島事故の大きな教訓として社長の責任を保安規定の中で明確にする必要がある」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2020年5月29日より転載)