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川内原発2号機も停止・・鹿児島 「テロ対策施設」遅れ

九州電力川内原発=鹿児島県薩摩仙台市

県内外から作業員多数

 川内原発2号機(鹿児島県薩摩川内市)について九州電力は20日、新規制基準で意図的な航空機衝突などのテロ対策のために義務付けられた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の設置が期限に間に合わないため原子炉を停止し、定期検査に入ります。稼働中の原発が特重施設完成の遅れで停止するのは、3月に停止した同3号機に続いて全国で2例目です。

 定期検査中に工事が並行して行われ、より多くの作業員が県内外から同原発に出入りするようになることから、地元では新型コロナウイルス感染症拡大を不安視する声が上がっています。

 特重施設は、テロ攻撃を受けた時、遠隔で原子炉を制御する緊急時制御室などからなります。新規制基準で設置が義務付けられ、2号機は21日が設置期限でした。九電によると、2号機は来年1月下旬までの停止を予定しています。

 九電は、定検中の作業者は1、2号機あわせて、社員約450人、協力会社の作業員約2300人の態勢ですが、県外からの人数は分からないと答えています。新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、九電は手洗いの徹底やマスクの着用、健康観察などをあげています。

 これまでに市民団体が、新型コロナウイルス感染症拡大下で特重施設の工事中止を求める要請を県などに行っています。川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子会長は「市民はさまざま活動を自粛しているにもかかわらず、原発は自粛をしていません。国をあげて3密を防ぐよう呼びかけられているさなか原発工事に不安を覚えます」と話しています。

 特重施設設置遅れの問題では、これまでのところ、関西電力高浜4号機(福井県高浜町)も10月に停止すると発表しています。

稼働優先せず県民の安全を

 日本共産党の平良行雄鹿児島県議の話 県は県境をまたぐ往来を自粛するよう県民には要望しています。そんな時に、なぜ原発だけ特例として認められるのか。一番の感染拡大防止対策は工事中止です。九電は、県外からの作業員の人数も把握していないと説明していますが、それを県が見過ごしていること自体が問題。県民の安全を優先するためには、この時期だけでも工事を止めるべきです。原発の稼働を急ぎ、工事を優先する九電に怒りを覚えます。

(「しんぶん赤旗」2020年5月21日より転載)