東京電力福島第1原発事故で発生した放射能汚染水を処理した後に薄めて海に放出するなど処分方法を政府が検討している問題で、国際環境団体「FoEジャパン」が5月19日、福島周辺6都県の漁協を対象にしたアンケートの結果を発表しました。回答した漁協の9割が海洋放出に「反対」と回答しました。
アンケートは4月15日~5月1日に実施。岩手、宮城、福島、茨城、千葉、東京の6都県に港をもつ漁協のうち、住所が把握できた134の漁協に送付し、42件の回答がありました。
処理水の海洋放出には「賛成」が1、「反対」が38、「どちらでもない」が3。反対の理由としては、風評被害への懸念が多かったほか、汚染による実被害や被ばくのリスクをあげた漁協もありました。「漁業者にとって死活問題」といった強い意見が目立ったといいます。
水蒸気として大気に放出する案については「賛成」が2、「反対」が33、「どちらでもない」が5でした。
一方、多数の意見が寄せられたにもかかわらず政府が選択肢から外した「大型タンクによる保管」と「モルタル固化による処分」の両案には「賛成」が16で、海洋・大気への放出案より支持が多い結果でした。
「ようやく立ち直って頑張っている漁業者を裏切るような行為はやめてほしい」「いままでの東電の対応に対する不信感は根強い。いくら安全だと言われても信じられない」という声、原発から比較的遠い漁協からも「福島県だけに重荷を背負わせている」状況を懸念する声がありました。
(「しんぶん赤旗」2020年5月20日より転載)