原発事故分析にコロナ拡大影響・・規制委員長が懸念
新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に関連して、原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は8日の定例会合で、東京電力福島第1原発事故の分析について「影響を受けざるを得ない」と懸念を示しました。
規制委は、昨年から福島第1原発事故の調査分析を再開。2020年をめどに中間的な報告書をまとめる計画でした。建屋内など高線量下の調査に、東京から原子力規制庁職員を出張させていました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、規制委は、規制庁職員を東京から各原発に派遣することを原則自粛しており、今後の調査に影響が出るとの見方を示したものです。すでに事故分析の議論に参加する予定だった海外の専門家の来日がキャンセルになるといった影響も出ています。
更田氏は会見で「中間報告の内容が当初狙っていたレベルまでやり遂げられるか。おそらく影響が出るだろう」と述べました。
規制委は政府の緊急事態宣言を受け、毎週行っていた委員会の定例会合を隔週にし、原発の審査会合などは、テレビ会議、電話会議を基本にするとしています。会合などの公開は、すでに一般傍聴は受け付けず、動画配信のみとなっています。
原発汚染水処分 広く意見きいて・・市民団体が要請
東京電力福島第1原発の放射能汚染水を処理した後に薄めて海に流す案などを政府が検討している問題で、「これ以上海を汚すな! 市民会議」など4市民団体が9日、福島県の漁業団体などに意見を聞くだけでなく、県外や一般市民からも意見を聞くよう求める要請書を梶山弘志経済産業相あてに提出しました。
要請書は、大型タンクによる陸上保管やモルタル固化処分案など海洋・大気への放出以外の代替案についても討議の機会を設けること、意見の「ききっぱなし」ではなく説明や討議を公開の場で十分に行うことを求めています。
(「しんぶん赤旗」2020年4月10日より転載)