日本共産党の藤野保史議員は3月26日、衆院原子力問題調査特別委員会で、関西電力の原発マネー還流に関する第三者委員会が公表した調査報告書では還流の「闇」の全容は解明されていないとして徹底調査を求めました。
藤野氏は、1969年の高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の建設と同時期、高浜原発と大飯原発(同県おおい町)の中間に位置する「青戸入江(あおとのいりえ)」の埋め立て地が関電に転売され、社員寮や原発訓練センターなど原発関連施設が建設された経緯を指摘。同地の埋め立てを出願して造成し、関電への売却に直接関与したのが、中央政財界とも深いつながりがあった福井財界トップの加藤尚「若狭開発」代表取締役(当時)だったと告発。同氏の伝記には「造成地の一部を原発の建設用地に譲渡するつもりだった」と記載があると指摘しました。
さらに藤野氏は、高浜原発3、4号機建設時に同じ構図の埋め立てと転売があったと指摘。高浜町が住民の憩いの広場建設のため同入江の埋め立てを申請したものの「国策に協力する」として関電原子力保修訓練センター設置に用途変更し、町から関電へ埋め立て地が売却された経過を示しました。売却には関電幹部との金品授受に関わった森山栄治高浜町元助役が中心的役割を担っていたことも指摘。「国民共有財産である公有水面が関電に渡ったプロセスについて、国や政治家の関係も含めて調査すべきだ」と主張しました。
松本洋平経済産業副大臣は「公有水面は所管外」と述べるにとどめました。藤野氏は、真相解明のため第三者委員会の調査報告書が触れている各種資料の提出を求めました。
(「しんぶん赤旗」2020年3月27日より転載)