日本共産党の岩渕友議員は3月17日の参院予算委員会で、東京電力福島第1原発事故被害者への住宅の無償提供や損害賠償の打ち切りを許さず、国と東電に被害者の生活と生業(なりわい)の再建に最後まで責任を果たすよう求めました。
岩渕氏は、福島県浪江町から福島市に避難している70代の夫婦の「墓参りも自由にできず、造林し手入れしてきた山はこの10年、手つかずのまま。先祖代々引き継いできたものをゼロにされるのはつらく、悔しい」との悲痛な声を紹介し、重く受け止めるよう訴えました。
そのうえで、3月末に富岡、浪江両町と葛尾、飯舘両村の「帰宅困難区域」を抱える自治体からの避難者への住宅無償提供が終了する問題を追及。「帰ることができないのに打ち切るのは被害者切り捨てだ」として、国の責任で継続するよう迫りました。田中和徳復興相は「自治体と協議してこのようにした」と答弁。岩渕氏は「国策で事故が引き起こされた責任を感じていない」と断じました。
さらに岩渕氏は、原発事故の裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電が和解案受け入れの条件に将来の請求を放棄させる趣旨の「清算条項」を要求する実態があると指摘。東電の小早川智明社長は、清算条項をつけた和解件数が2012年101件、13年5件、16年1件、17年8件、18年54件、19年42件となっていることを初めて明らかにしました。
岩渕氏は、清算条項が原発事故賠償になじまないため事故後に減っていたが近年急増しており「東電が清算条項を付けるなら和解に応じる」例もあることを示し、「加害者が被害者に損害賠償をあきらめさせようとしている」と批判。東電を指導してやめさせるよう求めました。梶山弘志経済産業相は「そういった状況があれば東電を呼んで話を聞いて指導したい」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2020年3月18日より転載)