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東日本大震災・福島原発事故9年 被災3県議団長に聞く(下)・・東日本大震災・福島原発事故9年 被災3県議団長に聞く(下)

 震災から9年がたち、ハード面の復興は目に見えて進んでいる印象を与えますが、被災者の生活再建、心の復興は大きく遅れ、道半ばの状況です。

 まず、住まいの再建はまだ終わっていません。全壊や大規模半壊などで、家を再建するための生活再建加算支援金を申請していない世帯が約2万世帯あります。半壊もかなりあるはずですが、実態は分からず、在宅被災者として復興から取り残され、過酷な生活を強いられている状態です。

 災害公営住宅も、家賃問題が大きな課題となっています。6年目以降の低所得者への低減家賃は、16市町で据え置きが実現しました。他方、多くの市町で入居4年目から若い世帯などが収入超過者(世帯月収15万8000円以上)として、家賃が大幅に上がり、退去せざるを得なくなっています。

追い打ち次々と

 深刻な問題として、孤独死があります。災害公営住宅に移り住んでからも164人の被災者が孤独死しています。常駐の支援員を配置して見守る気仙沼市、南三陸町など、がんばっている市町もありますが、多くは巡回型の支援や町内会任せになっており、自治体の責任が一層求められています。

 生業(なりわい)の復興も大きな問題があります。グループ補助金を使って再建した企業で46事業者が倒産しています。そのうち石巻市を中心に水産加工業が18社を占めています。グループ補助金の4分の1は返さなければなりません。しかし、温暖化などの影響でサンマなどの従来の魚種の水揚げが激減し、魚の値段が上がり、加工業者は大変苦労しています。タラを北海道まで買い付けに行き、運賃が50万円かかったなどの話も聞いています。消費税増税に加え、新型コロナウイルスの影響も地域経済の大打撃となっています。

 こういった問題の根本には、村井嘉浩知事が「人間の復興」をないがしろにし、「創造的復興」に突き進んだことがあります。

「人間の復興」を

 巨大防潮堤は、369カ所、総延長239・2キロメートル、完成率49%ですが、住民が望まないものを画一的に押し付けました。「水産特区」は浜に混乱をもたらしただけで、後に続くものはありませんでした。仙台空港民営化、水道民営化、知事が突然提案した「宿泊税」は、ホテル・旅館業者らの大きな反対の声で取り下げになりました。住民が反対する女川原発の再稼働も大きな問題です。

 被災者、県民に冷たい村井県政によって、被災者の生活再建・生業の再建は、まだまだ道半ばというのが現実です。「創造的復興」の問題点を指摘し、これからも被災者・県民に寄り添った「人間の復興」を追求していきます。

 (宮城県・佐藤信之)

 (おわり)

(「しんぶん赤旗」2020年3月13日より転載)