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ゆがんだ「地元重視」 関電金品受領報告書 「びっくりするような話持ってこい」・・森山氏、強引な要求次々

森山栄治氏が関与した業者と各社が受けた利益

 

 関西電力役員らの金品受領問題を調査してきた第三者委員会は、高浜町の元助役森山栄治氏(故人)の要求に応じた関連企業への工事発注や情報提供を便宜供与と認定した。「地元重視」の名の下で強引な要求が繰り返され応じる構図。報告書は「不適切な森山氏らの利権構造が隠されており、地元重視と評価しうるものではない」と断じた。(近藤洋平)

 第三者委は、パソコンに残るメールなどの電子記録を復元する「デジタルフォレンジック」などから当時のやりとりを明らかにした。

 「いい話(工事)を持ってこい。びっくりするような。大手建設会社と腐れ縁を作るな。地元との関係をキチッとしろ」。2012年4月に高浜発電所長が森山氏から電話で要求されたと幹部に報告。3日後には「工事(4千万円)を提案し、とりあえず今回はこの程度にしておいてやる、とのこと」と了解を得られたことをメールしている。実際、建設会社「吉田開発」(高浜)に約3千万円の工事が発注されていたという。

 メンテナンス会社「柳田産業」(兵庫県)に対しては03年ごろから年度ごとに発注予定額の事前協議を行っていたことが判明。07年度分計画折衝経緯では「M氏との打ち合わせ結果、35・5と決定した」とあり、実際には33億8千万円余りが発注されていた。04~08年度、11年度は34億5千万円~37億5千万円の約束で「妥結」し、ほぼ同額か超過する発注がされていた。

高浜原発や金品受領を巡る主な経緯

 入札をしない「特命発注」に不合理なものが複数あることも指摘。17年12月に関電担当者がやりとりしたメールには「先生の噴火リスクを回避した方が賢明であり、安上がり」として、森山氏の機嫌を損ねないように競争発注を避けることを進言するものがあった。

 複数の業務委託を取締役だった警備会社「オーイング」(高浜町)に切り替えるよう迫っていたこともあった。森山氏は「地元企業を活用し、育成するのが関電の責務であり、地域共生。約束通りO社に切り替えてもらいたい」などと主張。実際に切り替えたケースがあった。

 「塩浜工業」(敦賀市)について11年9月、森山氏側が元請けでの参画を求めたのに対し、豊松秀己原子力事業本部長が「なんか塩浜に元請で出せる工事がないかどうかチェックしておくこと」と指示した議事録が残る。12年には当初2億円だった発注金額を、要求に応じて3億2千万円に増額することを約束した記載もあった。

 このほか事前に工事概算などを森山氏に情報提供していたことを複数確認。12~18年度は吉田開発7件、塩浜工業2件と情報提供があった競争発注9件すべてを関連2社が落札した。

 会見で但木敬一委員長は「今後は地方自治体や住民に対して透明性を持って、十数年後のまちづくりをイメージしながら地元対策をしてほしい」と望んだ。

(福井新聞2020年3月15日より転載)