関西電力幹部らに福井県高浜町の森山栄治元助役(死去)から多額の金品が渡っていた問題で11月21日、福井県職員109人にも同氏から少なくとも計122万円分の金品が贈られていたことが分かりました。県が設置した調査委員会が公表したもの。調査では元助役が関係する複数の企業が県発注の事業を受注していたことも判明。税金が県職員に還流した形です。
調査ができたのは特別職、局長、部課長を経験した幹部職員ら313人(元職を含む)。このうち森山氏と接点があったとしたのは180人で、109人が金品を受け取っていました。
金品の総額は分かっているだけで、122万円。内訳は▽現金52万円▽商品券59万円分▽純金小判1枚(10万円相当)▽ワイシャツ仕立券1万円分―です。
森山氏と接点があったのは、主に人権・同和問題を担当する部門。森山氏は「解同」県連の元幹部でした。報告書によると、ある職員は森山氏を訪問した際、商品券10万円、純金小判1枚を受領。その場で返却しようとしたものの拒否されたため、今回の調査まで保管。「相当額の一部を品物で返送していた」としています。
森山氏からお菓子とともに5万円の商品券を渡された土木部の職員も。この職員は返却を拒否されたため、受領していたといいます。
調査では森山氏が顧問をしていたとされる吉田開発が、1995年度~2019年度までの25年間に、計約57億8600万円の公共事業を受注していたことが判明。森山氏が取締役だった警備会社も14年度~19年度の6年間で計約2億9600万円の発注を受けていました。
ただ調査委は、森山氏から請託をうけたり、便宜を図ったりした事案は「確認されなかった」と結論づけました。
金品受領の原因について報告書は、森山氏が「地域の人権問題を熟知」しており「対応に気を遣う必要がある人物」などとするだけで、踏み込んだ分析はしていません。
調査委は県が設置し、弁護士3人で構成。10月18日から調査を開始していました。
(「しんぶん赤旗」2019年11月22日より転載)