東京電力福島第1原発事故で福島県沿岸部の双葉町、楢葉町、広野町、南相馬市などの住民が東京電力に損害賠償を求めた避難者訴訟(早川篤雄・原告団長)の控訴審が仙台高裁(小林久起裁判長)で5日開かれ、関礼子・立教大学教授(環境社会学)と早川篤雄団長、古市満雅さん、浪江町に住んでいた女性の原告3人にたいする証人尋問が行われました。
関教授は、原発事故による「故郷はく奪損害」の内容について解明。「故郷」とは、人と自然のかかわり、人と人のつながり、そしてその継続性が三位一体となったものであり、そこで営まれる「共同性」の損壊こそが故郷はく奪損害の実体をなすこと、「避難による精神的苦痛とは区別される損害」であることを強調しました。
早川さんは「それぞれの人生の過去・現在・未来を大地ごと奪われた」被害だと述べた上で、「市民運動として繰り返し繰り返し、原発建設反対を申し入れしてきた。人は人の過ちを許すことはできるが、東電の過ちを許すわけにはいかない」と糾弾しました。
古市さんは「原発でも働いたことがあります。楢葉町を流れる木戸川から水をとっていた。人がいなくなり、生計がなりたたない」と困難な実態をのべました。
原告の女性は「事故前の放射能のない浪江に帰りたい。私みたいな避難者をこれ以上つくってほしくない」と訴えました。
(「しんぶん赤旗」2019年9月6日より転載)