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柏崎刈羽・東電方針・・再稼働への固執姿勢が露骨だ

 東京電力の小早川智明社長が26日、新潟県柏崎市の桜井雅浩市長と面会し、同社の柏崎刈羽原発についての方針「再稼働および廃炉に関する基本的な考え方」を伝えました。6、7号機が再稼働した後、1~5号機のうちの一部廃炉を検討するという内容です。東電が同原発の廃炉の可能性を示唆したのは初めてとはいえ、あくまで6、7号機の再稼働が大前提です。廃炉にするとも明言していません。再稼働に固執し続けることをあからさまに示した方針は、県民の思いを踏みにじるものです。

「廃炉」どころか温存

 柏崎市と刈羽村にまたがる東京電力柏崎刈羽原発は、1~7号機の計7基を持ち、総出力は821万キロワット余と世界最大規模です。原子力規制委員会は2017年、6、7号機の安全審査で「合格」を決め、再稼働をめぐり地元自治体の同意が焦点になっています。

 今回示された東電の方針は、再稼働を認める前提として1~5号機の具体的な廃炉計画の提出を求めていた柏崎市長への回答です。6月を回答期限にしていたにもかかわらず、大幅な遅れです。

 しかも、その中身は、1~5号機の廃炉を確約しておらず、6、7号機の再稼働を最優先させる姿勢を露骨に示したものです。1~5号機については、「低廉で安定的かつCO2の少ない電気を供給する上で必要な電源」と強調します。その上で、「十分な規模の非化石電源の確保が見通せる状況となった場合」と条件をつけ、「6、7号機が再稼働した後5年以内に、1~5号機のうち1基以上について、廃炉も想定したステップを踏んで」いくとしています。1~5号機をひたすら温存し、廃炉を先送りする方針に他なりません。

 これを「現時点では最大限の回答」(小早川社長)と言ってはばからないのは、再稼働に強い不安を抱く地元の願いに全くこたえようとしない許し難い態度です。

 東電が廃炉に背を向け、再稼働に突き進むのは、同社だけでなく、政府の方針があるためです。17年に東電がまとめ、経済産業大臣が認定した経営計画「新々・総合特別事業計画」は、柏崎刈羽の再稼働でもうけを上げることを柱に据えています。先に6、7号機を再稼働させ、1~5号機も段階的に動かそうとしています。原発頼みの利益優先に固執する東電と政府の姿勢は大問題です。

 安倍晋三政権が昨年決定したエネルギー基本計画も、東電の原発依存を後押ししています。同計画は30年度の電源の20~22%を原発でまかなうとしており、再稼働の推進を前提にしています。廃炉が相次ぐことになれば、同計画は成り立ちません。政府の原発政策が、再稼働ノー・原発ゼロを求める世論に反することは明白です。

東電に再稼働の資格ない

 東電は、福島第1原発事故を起こしながら、そのことへの反省もなく、賠償と廃炉の責任を果たそうとしていません。東電に原発を動かす資格はありません。

 07年の新潟県中越沖地震をはじめ強い地震にたびたび見舞われ、そのたびに緊急停止したり、トラブルを起こしたりする柏崎刈羽原発に対する住民と地元自治体の不信と不安は消えません。東電は柏崎刈羽原発の再稼働・温存のための今回の方針を撤回し、廃炉を求める声にこたえるべきです。

(「しんぶん赤旗」2019年8月29日より転載)