福島県の沿岸部の双葉町、富岡町、楢葉町、浪江町などの住民が、福島第1原発事故で東京電力に損害賠償を求めた福島原発避難者訴訟(早川篤雄原告団長)の控訴審第6回口頭弁論が7月29日、仙台高裁(小林久起裁判長)で開かれました。
南相馬市と、川内村から避難した2人の原告本人に対する尋問と、寺西俊一・一橋大学名誉教授(環境経済学)の専門家証人に対する尋問がおこなわれました。
南相馬市小高区の原告、國分富夫さんは郵便局員をしていました。
「帰還した人は少ないです。スーパーは再開したものの食料品は少ない。未来に責任が持てるように裁判を起こしました。人間の復興がなければ安全はありません。(東電は)謝罪し、賠償を最後まで続けてください」と訴えました。
川内村から避難している71歳の女性は車上生活者になり、放射能の被ばくを避けて転々としています。川内村には94歳になる母親がいます。
女性は▽住宅支援が打ち切られた▽放射能による健康不安がぬぐえない▽自然環境が破壊され、住民が分断され、自宅の放射線量が高いことなどから車上生活を余儀なくされている―として、自宅に帰れない苦悩を語りました。
寺西氏は福島原発の影響と被害をどう捉えるべきかについて証言しました。
次回は、関礼子・立教大学社会学部教授が原告側証人として意見をのべます。
(「しんぶん赤旗」2019年7月30日より転載)