原発の使用済み核燃料の再処理で発生する高レベル放射性廃棄物(「核のゴミ」)の地層処分を行う実施主体である国の認可法人、原子力発電環境整備機構(NUMO)はこのほど、国と共催して昨年度に全国で開いた説明会参加者673人に実施したアンケート調査の結果をまとめました。
政府は処分方法として、使用済み核燃料を溶かしてガラスと混ぜた固化体を地下300メートルより深い場所に埋める「地層処分」を前提にしています。アンケート結果によると、「地層処分」が「安全に実施できる」と思うかの質問に対し、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人は23%でした。「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」と答えた人は42%で、19ポイント上回っています。
また、「地層処分に適した場所が日本に存在する」と思うかの質問には、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」は23%で、「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」は38%でした。
「核のゴミ」の最終処分地選定をめぐって、国が2017年、調査の対象となりうる地域を示した全国地図を公表しました。地図では、近くに火山や活断層がないことなどを基準に、処分場として「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」と区分した地域を濃い緑色と薄い緑色にしました。なかでも海岸から20キロ以内で「輸送面からも好ましい」地域は濃い緑色で、含まれる市区町村は約900と全国の自治体の半数になるといいます。
説明会は昨年度、「濃い緑色」の沿岸地域を中心に全国32カ所で住民を対象に全国地図などについて開催。計673人が参加、アンケートに回答しました。政府は15年、地方自治体が受け入れを表明するのを待つ従来の公募方式から、国が「前面に立って」地域の特性を提示する方針変更を決定しています。
(「しんぶん赤旗」2019年7月30日より転載)