福島原発事故から8年4カ月になります。しかし、原発推進派は事故がなかったかのようなふるまいを続けています▼先日、エネルギー政策の方向性を議論する国の審議会が半年ぶりに開かれました。再稼働反対が多数という世論をよそに、国は遠慮するなと言わんばかりの委員や、再稼働が思惑通り進まない現状に「審査のスピードアップ」を求める委員…。原発の再稼働や新増設を求める意見が相次ぎました▼全国の大手電力会社でつくる電気事業連合会の新会長は「将来の新増設にも備える」と表明しています。これが事故を起こした当事者なのかと思えたのが、東京電力の株主総会です▼社長は新潟県にある柏崎刈羽原発の再稼働を準備し、青森県で東通原発の建設を進めることを明言。原発メーカー出身の会長は「原発の稼働が必要」と強調しました。経団連は政府に対し、再稼働だけでなく、新増設を位置づけるべきだとまで求めています▼党首討論会で「新増設を認めない」に、安倍首相だけが手を挙げなかったのも、経済界や電力会社の意向がすけてみえました。後で「新増設を想定していない」からと言い訳したものの、「新増設を認めない」とは言えませんでした▼参院選で自民党は、再稼働の推進と「2030年エネルギーミックスの確実な実現を目指す」と公約しています。これは原発でいえば30基台を動かすことにも。原発ゼロの日本、再生可能エネルギーへの大転換は、財界にモノが言える日本共産党が伸びてこそ、です。
(「しんぶん赤旗」2019年7月11日より転載)