のぼる　原子力規制委員会が、再稼働した原発にも停止を求めるかもしれないね。

　みどり　テロ対策のための施設「特定重大事故等対処施設」（特重施設）の完成が期限に間に合わないからでしょ。再稼働した原発はどれも期限に間に合わないって。

　のぼる　来年３月に期限を迎える九州電力川内原発１号機を皮切りに順次、停止になる可能性がある。

　みどり　特重施設は、新規制基準で設置が義務付けられたのよね。

　のぼる　航空機衝突などを想定して、遠隔で原子炉を操作する緊急時制御室や非常用の電源や注水設備を含んでいる。

規制委延長拒む

　みどり　電力会社が、工事が長引いて１年～２年半ぐらい期限を超過しそうだから、延長してほしいって規制委にお願いしていたのよ。でも規制委は、もう期限は延長できないって。

　のぼる　猶予期限後に特重施設がなければ基準不適合になる。その状態で運転が認められないのは当然だ。

　みどり　工事が大変だから、期間を延ばしてほしいなんて、電力会社は安全に対する責任をどう考えているのかしら。

　のぼる　特重施設の猶予期限は最初、新規制基準施行から５年の２０１８年７月だった。規制委はそれを１度延ばしている。審査が長引いているという理由で、特重施設を除いた本体設備の設計を定めた工事計画認可後５年にした。その際に意見公募があったけど、多くの市民が延長そのものに反対していたよ。

　みどり　規制委も２度目の延長はできなかったのね。猶予期間中にテロが来ない保証なんてないけど、何度も期限を延ばしたら、期限の意味がなくなるもの。

過ち繰り返すな

　のぼる　でも、電力会社は、いざとなればまた延ばしてもらえると踏んでいたんじゃないかな。福島第１原発事故前みたいに。

　みどり　そうね。２００６年に改訂された耐震指針は最初、３年の期限で適合性を確認するはずだったでしょ。でも、それがずるずる延ばされて結局、最終報告書が出されないまま巨大津波が起こったんだもんね。

　のぼる　繰り返してはいけないね。

（「しんぶん赤旗」2019年5月4日より転載）