来月で事故から8年になる東京電力福島第1原発。きょうにも2号機の原子炉格納容器の内部調査が実施されます。事故で溶け落ちた核燃料の性状を確認するためです。いまだにわかっていません▼先月末に構内を取材した際、東電は、全面マスクや防護服を必要としない作業範囲が構内の96%に広がったと説明していました。道路の舗装などで放射性物質の飛散が少なくなったためだと。その中で事故処理にあたる作業員は1日4000人以上働いています▼東電が公表した作業員アンケートは、「96%」という数字とは違う現実が見えてきます。放射線への不安を感じている人の理由を聞くと、半数弱が「将来の健康が不安」と回答しています。さらに第1原発で働くことに4割以上が不安を感じています▼最も多い理由が「先の工事量が見えないため、いつまで働けるかわからない」「被ばくによる健康への影響」。「安定的な収入が保証されない」がそれに続きます。安心して働ける環境がなければ廃炉もままならないでしょう▼増え続ける汚染水の問題もあります。今も毎日100~150トン発生し、1000トンタンク1個分が1週間から10日でいっぱいになる計算です。すでに約110万トン。東電は137万トン分までしか計画を持ちません▼周辺自治体の住民調査で「戻らない」「まだ帰還の判断がつかない」という人たちは、理由の一つに「原発の安全性に不安があるから」を挙げます。帰還を急ぐ安倍政権ですが、事故は何も終わっていません。
(「しんぶん赤旗」2019年2月13日より転載)