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今考えよう 地球の未来 会津電力社長 佐藤彌右衛門さん・・再エネ増やし地域自立へ

伊藤彌右衛門(やうえもん)さん

 原発に依存せず、地域で使うエネルギーを自分たちでつくり、供給しよう―。地元の自治体や企業、個人などが出資し、地域を挙げて「会津電力」を2013年、設立しました。

 今年3月末までに会津電力グループ全体で、太陽光発電を中心に発電所が83カ所、計5964キロワットの発電になる予定です。今後、小水力、風力、バイオマスエネルギーの拡大に向けて意欲満々です。

 ところが、太陽光発電に対して、大手電力会社は送電線に空き容量がないとの理由で、接続を拒み、発電抑制に動いています。原発に依存しない再生可能エネルギーを優先して受け入れるべきであり、経済産業省も行政指導すべきです。

次の世代に

 江戸時代中期の寛政2年(1790年)から続く、造り酒屋の9代目です。酒造りは、水、コメなど地元の物を使う地場産業そのものです。会津地域は、水資源、森林資源に恵まれています。この素晴らしい豊かな里を大事に守り次の世代につなげるため、酒造りだけではなく地域活性化に力を注いでいます。

 会津地域は、自分たちの手でエネルギーをつくり出せるのに、地域を独占する大手電力会社から電気を買わざるを得ませんでした。そして日本は、はるかかなたの国から化石燃料などのエネルギーを買ってきて使っています。お金が域外、国外に出ているわけです。

 地域で使うエネルギーを自分たちで供給すれば、お金が外へ逃げていかない。お金を地域内で循環させ、安定した雇用をつくり、産業の活性化と地域の自立につなげる。これが会津電力の理念です。お金さえもうかればいいという経営ではいけない。

福島県喜多方市の太陽光発電設備(会津電力提供)

 会津地域の豊富な資源を生かした循環型の地場産業にとって、エネルギーを自分たちで供給できないのは、パズルの1ピースが欠けているようなものでした。東京電力福島第1原発事故があって、つくづく思い知りました。

原発でなく

 福島県は2040年ころまでに県内需要の100%相当のエネルギー量を再生可能エネルギーで生み出すのが目標です。一方、国のエネルギー政策は原発をベースロード(基幹)電源と位置付けて稼働を続けようとしています。

 原発は、リスクだけを地元住民に負わせ、事故が起きれば、街まるごと人が住めない環境になってしまう。原発事故から8年になろうとしているのに、炉心がどうなっているのかも分からない。放射能汚染水を無責任に海に流そうなどという議論だけが進んでいます。事故は全く収束していませんし、原発は人間にコントロールできません。

 “重要法案”の採決強行よりも、「原発ゼロ法案」を国会で審議して、未来の子どもたちのために再生可能エネルギーへの転換を急ぐべきではないでしょうか。

 (聞き手 唐沢俊治)

(「しんぶん赤旗」2019年1月8日より転載)