今回の会議での日本の存在感の薄さについて、国内のNGOは「限りなく透明に近い」と説明します。一方、石炭融資では世界トップで、“汚染者”として海外のNGOから指弾されました。
COP会場で5日、ドイツなどのNGOが、石炭火力発電所の新設に巨額の投融資をしている銀行を公表。日本が、全世界の石炭火力新設への貸し付けの3割を融資していることが明らかになりました。
融資額は、みずほフィナンシャルグループが128億ドル(1兆4473億円)で世界最高。2位の三菱UFJ、4位の三井住友などと合わせて、邦銀は石炭火力の新設に世界トップの融資をしています。
“転換”をいうが
丸紅や三菱商事が今年、石炭火力から転換するとしましたが、NGO「バンク・トラック」のグレイグ・アトキンさんは「世界から相当遅れた地点からのスタートだ」と話します。
石炭火力は、高効率のものでも天然ガスの2倍の二酸化炭素(CO2)を排出します。パリ協定は、今世紀後半にCO2排出の実質ゼロをめざすと合意。世界では、石炭火力は座礁資産(環境規制で投資回収が見込めない資産)になるとの見方が広がっています。
これまで大手保険会社など1000機関、運用資産総額で900兆円が、化石燃料への投資をやめると表明。フランスの年金機構「預金供託金庫」は来年から、石炭関連事業が収益の1割以上を占める企業への投融資を打ち切ります。
一方で、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、41の石炭火力事業者に73億ドル(約8250億円)を投資。
「抜け穴が多い」
世界に300万キロワットの石炭火力を保有する丸紅が表明した“石炭火力の新規開発からの撤退”も、ベトナムやインドネシアで進んでいる既存の計画は対象外で、東南アジアなどの参加者からは「抜け穴が多い」「空っぽだ」との声が上がります。
日本企業の石炭火力推進の背景にあるのは、安倍政権の政策です。2013年の日本再興戦略は「高効率火力発電を徹底活用」するとして、民間企業の投資を促進。石炭火力・原発の海外輸出も、政権の経済政策の目玉とされてきました。
地球環境市民会議(CASA)の早川光俊理事は「日本は先進国の中で最も温室効果ガスの削減目標が低い。エネルギー基本計画で、30年まで石炭火力を26%維持するなどとしている」と、日本の政策の遅れを指摘。
世界の流れからはるかに取り残された日本に、重い課題が突きつけられています。(おわり)
(「しんぶん赤旗」2018年12月20日より転載)