COP24inポーランド 温暖化防止 議論始まる・・「パリ協定」実施ルールめざす
【カトウィツェ(ポーランド南部)=伊藤寿庸】国連の気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が2日、ポーランド南部カトウィツェで開幕しました。約200カ国の政府代表団や国際機関、非政府組織の代表など約2万人が12月14日まで議論を行います。(関連7・14面)
地球温暖化防止の国際合意である「パリ協定」の「実施ルール」を定めることが会議の大きな目的です。初日の会議で、議長に選出されたポーランドのクリティカ環境副大臣は、このルールの策定で「パリ協定に生命と内容を吹き込む時だ」と述べました。
パリ協定には、温暖化の進行や科学的知見などに基づいて、5年ごとに目標をより厳しく見直す仕組みがあります。しかし公平な責任分担や透明性の確保、さらには「共通だが差異ある責任」の理解などをめぐって、先進国と途上国の間に深刻な対立があり、議論は難航が予想されています。
国連気候変動枠組み条約のエスピノサ事務局長は、「気候変動による多くの犠牲と破壊」が生まれており、緊急な行動が必要だと力説しながらも、会議が「緊張した、長い困難なプロセス」となると述べました。
アルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議で、米国はパリ協定離脱の意向を改めて表明。またボルソナロ次期大統領がパリ協定離脱を示唆したブラジルは、来年のCOP25の自国開催を辞退すると通告。次期議長国が不在という波乱含みの開幕となりました。
(「しんぶん赤旗」2018年12月4日より転載)
COP24inポーランド 「世界は岐路にある」・・歴代議長4人が共同声明
【カトウィツェ(ポーランド南部)=伊藤寿庸】当地で開かれている国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)にあたり、過去4度の歴代COP議長連名で2日、気候変動対策で「世界は岐路にある」とする共同声明を発表しました。このような共同声明は例がなく、今回の会議の重要性を際立たせています。
署名したのは、ビダル元ペルー環境相(COP20)、ファビウス元フランス首相(COP21、当時外相)、メズアール前モロッコ外相(COP22)、バイニマラマ・フィジー首相(COP23)の4人。
声明は、各地の災害の頻発など「気候危機への極度の懸念」を表明し、「世界は岐路に立っており、今後2年間の決定的な行動が死活的に重要だ」と述べています。カトウィツェでの会議では、世界の平均気温上昇を2度未満に抑え、1・5度未満を目指すとする「パリ協定の目標達成に世界が近づくか、それとも行動をさらに先送りするか」が問われると指摘しました。
具体的には、パリ協定の履行のための野心的な決定の採択、各国で環境団体など社会のさまざまな利害関係者の関与プロセスを通じた2020年までの気候変動対策や国別目標引き上げ、年1000億ドルの途上国向けの気候対策資金の実現―などを呼びかけています。
(「しんぶん赤旗」2018年12月4日より転載)
COP24inポーランド 「気候変動止められる最後の世代」・・国連機関警告
【カトウィツェ(ポーランド南部)=岡本あゆ】国連の世界気象機関(WMO)はこのほど、今年の世界の平均気温は史上4番目の暑さとなる見込みだと発表しました。国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)に向けて、WMOのターラス事務局長は「われわれは気候変動を止められる最後の世代」と警告。温暖化を食い止める取り組みを加速すべきだと訴えました。
WMOによれば、気温の高さで上位20位に入る年は全てこの22年間に集中しています。今回、2015~18年の4年間が、最も暑かった年の上位4位を占めることが分かりました。また発表は、今年は熱帯性低気圧の発生が平均より17回多かったと報告。今年9月に西日本を襲った台風21号を、「今年最も強力だった台風」の一つとして挙げています。
COP24の会場で、南太平洋の島国フィジーから参加したリハ・バレイレブカさんは「こうした数字は、私たち太平洋の国々が生きている現実です。“対策が必要なのは分かっているけど”という議論では足りません」と、国際社会の行動を求めました。
世界自然保護基金(WWF)ジャパンの気候変動・エネルギープロジェクトリーダーで、日本気象予報士会副会長の小西雅子さんは取材に対し、「毎年のように最高気温が塗り替えられ、世界で異常気象が起きています。今回の報告書は、直接COP交渉に影響するものではありませんが、(WMOは)各締約国に緊迫感を持ってほしいのでしょう」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2018年12月4日より転載)