日本原子力発電東海第2原発(茨城県)が新規制基準に適合するために必要な工事費に対して東京電力が経済的支援を表明している問題で、東電の株主が7月12日、原電への経済的支援は、代表執行役らの違法行為だとして、支援をやめるよう求める仮処分の申し立てを東京地裁に行いました。
原子力規制委員会は4日、東海第2原発が新規制基準に適合すると判断し、審査書案をとりまとめました。
原電は、東海第2原発の再稼働までに必要な工事に1740億円かかるとしています。原電が単独で調達できないことから、今年3月、東電と東北電力は工事費のうち原電が自己資金で賄えない部分について、それぞれ8割と2割の資金支援をする意向を表明しました。
申し立てでは、原電の恒常的な財源不足や、東海第2原発の周辺自治体による運転への事前了解を得られる見通しがないことなどを指摘し、「支援した金額を回収することは期待できない」としています。また、東電が巨額の税金を投入して存続している企業であり、「他社を経済的支援する体力はない」と指摘します。
このことから、東電代表執行役が、原電に経済的支援を行うことは「東電の利益を害する」として、経済的支援の差し止めを求めています。
会見で、原告株主3人の一人、木村結さんは、茨城県内の多くの自治体で東海第2原発の再稼働反対などの意見書を可決していることに言及し、「お金をつぎ込んで動かすのは、無理がある」と強調しました。
(しんぶん「赤旗」2018年7月13日より転載)