東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第19回公判が7月6日、東京地裁でありました。事故前に同原発の津波対策の実務を担った東電社員が前回(6月20日)に続いて証言。「何も(対策を)しないで済むことはないだろう」と述べ、巨大津波を想定し、敷地への浸水を防ぐ対策が必要と考えていたことを重ねて強調しました。
社員が所属した土木調査グループは、政府機関が2002年に“福島県沖を含む日本海溝沿いのどこでも、津波地震が起きる可能性がある”とする地震予測「長期評価」を取り入れて沖合に防波堤を設置するなどの対策が「不可避」と判断。08年7月末に、当時、東電の原子力・立地本部副部長の武藤栄被告に津波対策工事の検討を進言しましたが、採用されませんでした。
社員は、武藤氏への報告時にグループが用意した資料について「(『長期評価』を取り入れて)判断してもらうのに十分だった」と述べました。
社員らは10年8月から津波対策に関するワーキング会議を開催。他社が具体的な対策を進める動きがあり「改めて(対策を)前進させなければと考えていた」といいます。11年1、2月に開いた会議では、「タービン建屋が浸水する可能性がある」ことなどが報告されました。
「長期評価」について被告弁護側の質問に対し、「否定できないと考えていた」と述べる一方、「切迫性の情報はなかった」としました。
次回公判は11日で別の証人が証言します。
(「しんぶん赤旗」2018年7月7日より転載)