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北海道東部で大幅上昇・・南海トラフ沿い 微増続く

 政府の地震調査委員会は6月26日、2018年版の「全国地震動予測地図」を公表しました。今後30年以内に震度6弱以上の揺れが起きる確率は、昨年12月公表の千島海溝沿い巨大地震の長期評価を受け、北海道東部で大幅に上昇。南海トラフ地震の発生が近づいていると予想され、関東から四国の太平洋側は微増が続きました。

地震調査委公表

今後30年以内の震度6弱以上確率

 都道府県庁所在地の市役所(東京は都庁)や北海道振興局の所在地付近では、今後30年の震度6弱以上確率が釧路総合振興局(釧路市)で昨年の47%から69%に、根室振興局(根室市)で63%から78%に上がりました。

 全国トップは千葉市の85%で昨年と変わらず、横浜市の82%、水戸市の81%が続きます。大阪北部地震は地図作成基準日が1月1日のため反映されず、大阪市の確率は昨年と同じ56%。近くの断層帯との関係がはっきりせず、来年以降に公表する近畿などの活断層長期評価で検討します。

 地震調査委の平田直委員長(東京大学教授)は、東京都庁の確率が千葉や横浜より大幅に低い48%なのは、たまたま地盤が硬い台地にあるためと説明。大阪北部地震を踏まえ「一般に都市は平野などの揺れやすい場所にある。耐震性の低い家屋の補修や家具の固定など、地震に備えてほしい」と話しています。

強い揺れ 三大都市圏 対策念入りに

 2018年版の全国地震動予測地図は、内陸にある活断層などの地震で東京、名古屋、大阪の三大都市圏が強い揺れに襲われる可能性を改めて示しました。専門家は家屋の耐震補強や避難先の確認など、事前の準備が重要と強調します。

 広井悠・東京大学准教授(都市防災)は「地震の被害はどれだけ対策が進んだかで変わる」と指摘。「海溝型地震は発生場所がある程度予測でき、長期的に対策が取られるが、海溝型の被害予測が少ない地域は備えが進みにくい」と分析します。

 広井准教授は基本的な地震対策として、家具の固定▽耐震補強▽初期消火▽避難準備―の4点を挙げました。都市部では出火件数が消防の能力を上回って延焼する危険性が高く、消火器の使い方などの訓練を勧めています。

 NPO法人「耐震総合安全機構」(東京)常務理事で1級建築士の中村茂さんは、耐震補強には筋交いを入れて強度を増す方法や、柱に炭素繊維を巻いて揺れに対して粘り強くする方法があると説明します。

 耐震補強には費用がかかりますが、自治体の助成金制度も活用できると呼び掛けています。

(「しんぶん赤旗」2018年6月27日より転載)