大好きだ わたしのふるさと浪江町
笑顔がね たくさん咲くよ浪江町
この「なみえカルタ」が住民の共感をよんでいます。
福島県浪江町の浪江小学校(石井賢一校長)の子どもたちが、浪江町のよさを学ぶ総合学習「ふるさとなみえ科」でつくりました。住民は、子どもたちを希望の光だといいます。
東京電力福島第1原発の事故で全町避難して3年。二本松市にある学校で、子どもたち19人は、復興をめざす町の人びとの姿からも学びます。
「B─1グランプリ」で全国最高賞を得た、町おこし住民団体「浪江焼麺太国」のメンバーも授業しました。焼きそばを通して町のようすを全国に発信し続ける活動や焼きそばの伝統を説明し、焼きそば20キロを目の前でつくりました。
子どもたちは、発見したことを「なみえ焼きそばしんぶん」にまとめ、メッセージを太国に送りました。「大きくなったら自分も浪江町のため、福島のため何かやりたいと思います」
町の伝統工芸品も体験実習します。伝統的工芸品・大堀相馬焼は23の窯元がありました。全町避難でその継承が危ぶまれるなか、協同組合は二本松市内に共同の窯と作業場、体験施設をもつ工房を再開させました。
その工房で、子どもたちは、ろくろで湯飲み、手ひねりで皿をつくり、絵を描き、体験を「しんぶん」にまとめました。
協同組合の半谷秀辰理事長は、「大堀相馬焼が困難なとき、実際にふれて体験してくれる。ありがたい」といいます。
湯飲みや皿は、復興を願って避難先の二本松市で再開している町伝統の祭り「十日市」で展示。好評でした。
「十日市」は、2013年11月に開かれました。子どもたちは「ふるさとなみえ科」の発表をしました。地域に伝わる「双葉栴檀太鼓」も演奏しました。
「なみえカルタ」の発表を聞き、同市の借り上げアパートに夫と2人で住む女性(70)は、「涙です。涙です」と繰り返します。「元気になりました。復興への希望の光ですね、子どもたちは」
2年生男児の母親(43)は、「息子はいまでも浪江のおうちに帰りたいと言います。ふるさとを学ぶ子どもたちを見て、私らおとなも、くよくよせず前にすすもうという気持ちになれます」と語ります。
6年生の松本恵利さんは「みんなが笑顔だったので、思いが伝わったのではないかと思う。この勉強はいい」と話します。
記事 中村秀夫
写真 縣 章彦