東京・永田町の首相官邸前、暮れも押し詰まった12月27日夜も、「原発ゼロ」を求める抗議行動が繰り広げられました。首都圏反原発連合が呼びかけ、ほぼ年間を通して毎週金曜日夜におこなわれてきた行動です。「原発なくせ」「再稼働やめろ」―。ドラムの音にあわせた力強いコール(掛け声)が冷たい風が吹き抜けるなか、首相官邸など官庁街と国会議事堂にこだまします。新年もたたかいを強め、「原発ゼロ」を実現する決意をこめて。
官邸前から全国へと
毎週金曜夜の首相官邸前抗議行動は、東日本大震災と東京電力福島原発事故から1年たった2012年3月に始まりました。官邸前の行動は大阪、京都、名古屋などの主要都市や原発立地県の福井、石川、静岡など各地に広がり、「原発ゼロ」を求める大きなうねりを、粘り強く作り出しています。
毎週金曜だけでなく「NO NUKES DAY」と銘打った大規模な集会やパレードも数カ月おきに行われ、つい先日も22日の東京・日比谷野外音楽堂や国会前・官邸前を中心とした行動には、1万5000人が参加しました。9月から12月にかけ、福島、福井、福岡、愛媛など各地でも、大規模な集会が開かれました。
官邸前での行動は昨年、当時の民主党政権が福島の原発事故も収束していないのに各地の原発を再稼働しようと動いたのをきっかけに大きく盛り上がりました。一時期再稼働した原発もその後すべて停止し、ことし9月以降運転している原発はひとつもありません。「原発ゼロ」を求める国民の運動が、政府や電力会社の手を縛っているのは明らかです。
年明けには事故から3年を迎える福島原発の状況は、廃炉は決まったものの事故を起こした原子炉本体には近づくこともできず、流れ込む地下水や雨水などで増え続ける汚染水は、放射性物質を地中や海中に拡散し、その深刻化が国際的にも注目されるありさまです。政府は国の責任で対策をとると決めましたが、汚染水の流出は続き、事態はとても「収束」などと呼べるものではありません。
にもかかわらず政府が、電力会社いいなりに原発の再稼働を目指し、原子力規制委員会が「安全性を確認した原発の運転は認める」と、前のめりで動いていることに国民の反発は強まっています。
原子力規制委が決めた基準に合格すれば安全だなどというのは新たな「安全神話」そのものです。原発が事故を起こせば取り返しのつかない被害をもたらすことは、福島原発の事故で証明されました。原子力規制委の基準には、事故が起きた場合の住民の避難計画さえ含まれていません。政府がお墨付きを与えれば原発は安全などというのは、まったく通用しません。
原発依存をやめてこそ
安倍晋三政権は年明けに決める新しい「エネルギー基本計画」で、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけようとしており、原発再稼働に暴走しています。原発の輸出にも積極的です。
こうした安倍政権の暴走を許さないためには、「原発ゼロ」「再稼働反対」を求める国民のたたかいがいよいよ重要です。原発からの撤退が早ければ早いほど、代替エネルギーの開発も見通しが立ちます。新しい年は、「原発ゼロ」のたたかいの文字通り正念場です。