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福島原発事故 国・東電を再び断罪・・京都地裁 自主避難者を広く賠償

(写真)「一部勝訴」などの垂れ幕を出す原告弁護団ら=3月15日、京都地裁前

 東京電力福島第1原発事故で、福島県や宮城県など5県から京都府内へ避難した57世帯174人の住民が、総額約8億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3月15日、京都地裁(浅見宣義裁判長)でありました。浅見裁判長は、国と東電双方の賠償責任を同等として、原告110人に総額約1億1000万円の支払いを命じました。全国で約30の同様の集団訴訟で国の責任を認めたのは3件目です。

 さらに判決は避難基準を示し、避難指示がない区域からの「自主避難者」の賠償を広く認めました。

 判決は、2002年に国の機関が公表した「長期評価」(将来の地震の評価)によって、巨大津波を予見できたと指摘。「敷地高を超える津波への対応を命じなかったのは、職務上の法的義務に反し違法である」と認定し、「違法でない」とする国の主張を退けました。

 また、自主的避難について「子どもや放射線の影響を特に懸念しなければならない事情を持つ者がいる」などの個別具体的な事情を考慮し、避難の相当性が認められるか判断するという基準を示しました。これにより千葉、茨城、栃木の各県からの自主避難者への賠償を認めました。

 原告団共同代表の萩原ゆきみさん(50)は、これまでの判決では認められていなかった地域でも賠償が認められ、「すごくうれしい。ありがとうございます」と声を詰まらせました。

 原告弁護団事務局長の田辺保雄弁護士は、自主避難者への賠償は避難元地域が限定されていたとし、「原告にならなかった自主避難者にも希望を与える」と述べました。

 原告団・弁護団は、一部賠償が認められなかった世帯があるため、控訴する方針です。

(「しんぶん赤旗」2018年3月16日より転載)