稼働する原発がゼロという日が昨年9月から年を越して続いています。原発ゼロを願う国民世論を強く感じます。
その世論を無視するように政府や電力会社は原発の再稼働へ前のめりです。電力各社は競うように、原子力規制委員会に新規制基準での審査を申請。政権与党の自民党は規制委に対し、電力会社など原発推進側の意見を聞くようにと露骨な圧力をかけています。
その中で、気になるのが放射能汚染水問題はじめ収束とは程遠い東京電力福島第1原発の状況です。ここで働く作業員がずっと続けているツイッターをもとにした本を読みました(ハッピー著『福島第一原発収束作業日記』)。
著者は原発関連の仕事に就いて約20年ほどだといい、3・11の大地震の瞬間も原子炉建屋の最上階で作業していました。「ゴゴォー! っという感じの今まで経験した事のない大きな横揺れが始まったんだ」と書いています。
事故を目の当たりにし、今も収束作業に従事している作業員ならではの情報、実感がつづられています。終章に来ると「原発を再稼働させちゃダメだと思うんだ」とあります。「今回の事故の検証と対策もまだ出来ていないのに」と。
事故対応の遅れなどの教訓や対策も見えないといいます。そして、全国の原発が再稼働すれば、この先何十年も続く福島第1原発の収束作業に従事する作業員が集まらなくなると心配します。現場からも再稼働の動きは理不尽に映っています。まるで事故がなかったかのような動きだからです。