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「無謀」・・柏崎刈羽の審査「合格」 & 沸騰水型原発の規制基準改定へ 規制委員会

柏崎刈羽 規制委が「適合」判断・・6・7号機審査書案 東電の原発で初

 原子力規制委員会は10月4日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が新規制基準に「適合」との審査書案を了承しました。5日から30日間の意見募集を行います。事故を起こした福島第1原発と同じ、沸騰水型としても東電としても初の審査書案の了承。事故の収束、賠償、廃炉の見通しが立たないもとで、甚大な被害をもたらした事故の当事者に対し、再稼働の道を開く判断に、傍聴席からも「適格性なし」と声が上がりました。

 規制委は審査で、東電に原発を運転する適格性を議論し、「ないとする理由はない」と結論づけました。

 東電は2013年9月、審査を申請。規制委は、15年8月から沸騰水型原発審査のひな型にと集中して審査を進めましたが、数々の問題が発覚。昨年、敷地内の液状化の危険性を一転して認め、緊急時対策所の位置を変更しました。今年2月には、事故対応施設の免震重要棟が、想定される地震動に耐えられないことが判明。3年前に試算をしながら審査で虚偽説明を続けていました。

 同原発は軟弱な地盤で、敷地内の断層が活断層の可能性があると地元の研究者や市民団体が指摘するなど多くの問題があります。

 再稼働には地元の同意が必要。しかし、新潟県の米山隆一知事は、福島第1原発事故の検証などを進める県独自の委員会を設置し「検証が終わるまで、再稼働の議論をするつもりはない。(検証には)3~4年かかる」と述べています。


「無謀」・・柏崎刈羽の審査「合格」

舘野淳さん

 原子力規制委員会が10月4日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働の前提となる新規制基準に「適合」しているとの審査書案を了承したことに、専門家から「容認できない」「無謀だ」などの声が上がっています。

沸騰水型には大きな欠陥/元中央大学教授 舘野 淳さん

 柏崎刈羽原発6、7号機は、事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型の改良型で、沸騰水型では最初の規制委による許可となります。

 沸騰水型などの軽水炉は、経済効率性を追求した結果、炉心の大きさに対する発熱量が極度に高く、運転停止直後に冷却できなくなると直ちに炉心溶融に至ります。さらに炉心溶融するような高温での注水は水素ガスを発生させます。事故が起きやすく、その上、事故対応が被害を拡大させる欠陥商品です。

 沸騰水型ではさらに、原子炉を覆う格納容器が、すでに新規制基準“合格”が出ている加圧水型と比べ5分の1以下と極めて小さく、より大きな欠陥を持っています。このため炉心溶融すると、たちまち格納容器内は高温高圧になり、格納容器の破損が懸念されます。それを防止するため環境中へ放射性物質の放出を許すベンドが必要になるのは、福島第1原発事故で経験した通りです。

 東電は、格納容器内の水(サプレッションプール水)を循環冷却する装置を取り付けて、ベントを回避できるとしていますが、これはあまりにも楽観的です。

 沸騰水型には、この他に事故時に水位計が信頼できなくなるなどの問題もあります。

 このような原発の運転を許すのはあまりにも無謀です。

国民欺き続けてきた東電/新潟大学名誉教授 新潟県技術委員会委員 立石 雅昭さん

 

立石雅昭さん

東京電力は、たびたび国民・県民を欺いてきました。新潟県に「原発の安全管理に関する技術委員会」が設置されたのは、2003年。それは、東電の原発で検査データの改ざんなどが組織的に行われたことが02年に明らかになったからです。このため東電は、07年に「言い出す仕組み」などの再発防止策を公表します。

 しかしその後も東電は国民を欺き続けてきました。福島第1原発事故の検証で、「存在しない」と言い続けたメルトダウンの判断基準が、16年になって社内マニュアルの中にあったことが明らかになります。東電はこれを受けて、また「反省と誓い」を出しましたが、07年の再発防止策がなぜ機能しなかったのかなどの根本的分析はありません。

 柏崎刈羽原発の規制委の審査でも、虚偽の説明が繰り返されました。これは東電の体質そのものです。その体質がどう改善されたのかを問うことなく、決意を示す文言を保安規定に書き込むことで、規制委は東電に原発を運転する適格性があるとしました。規制委の

この姿勢は、東電に対する国民・県民の不信、不安や疑念に対して向き合うことの放棄であり、到底、容認できません。

(「しんぶん赤旗」2017年10月5日より転載)


沸騰水型原発の規制基準改定へ 規制委員会

東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)

 事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR)原発について、原子力規制委員会は10月4日、新規制基準を改定し、格納容器圧力逃し(ベント)装置に加えて、格納容器内の圧力を抑制する機器の設置を新たに求める方針を決定しました。規制委は、東京電力柏崎刈羽原発の審査を通じて得た知見の反映としています。

 格納容器が著しく小さい特徴がある沸騰水型原発に対して、新規制基準は格納容器の損傷防止のため、圧力を外部に放出するベント装置の設置を要求しています。

 ベンド装置には、格納容器内の放射性物質をこしとるフィルターが設置されていますが、放射性物質の中にはほとんど効き目がないものがあります。

 東電は、沸騰水型原発の格納容器内にある圧力抑制室の水を熱交換器で循環冷却する代替循環冷却装置を設置することで、格納容器の熱を外部に放出し、圧力を抑えるとしています。

(「しんぶん赤旗」2017年10月5日より転載)