東京電力福島第1原発で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し工法について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構は8月31日、原子炉格納容器の底部だけに水を張り側面からデブリを取り出す「気中・横アクセス工法」を大まかな方針として決定しました。気中でのデブリの取り出しは前例がなく、困難な廃炉作業が予想されます。
1~3号機は、溶けた核燃料の多くが原子炉圧力容器の底を抜けて格納容器に落下したと考えられています。
方針では、格納容器底部のデブリを側面から取り出すとしています。格納容器を水で満たして、放射線を遮へいし放射性物質の飛散を防ぐ「冠水工法」は、損傷箇所を補修し止水する必要があることなどから、難度が高いとしました。
「横アクセス」の課題として、作業現場の放射線量低減や、放射性物質の閉じ込め、水位コントロールなどを挙げています。
一方、圧力容器内部に一部残ったデブリは、上からの取り出しになるとしています。
東電は今年、ロボットを使い格納容器内部調査を実施。1、2号機ではデブリは確認できなかったものの、3号機で溶融物が固化した物体が見つかり、東電はデブリの可能性が高いとしています。ただ、詳しい性状や分布状況などは不明です。
内部状況は不確実性が大きいことから、今後の内部調査の結果よって、工法の見直しにも柔軟に対応する必要があるとしています。
方針によると、格納容器の側面からロボットアームなどの装置を投入。遠隔操作してデブリを回収します。
国と東電は9月にも、デブリ取り出しの大まかな工法を決定。18年にいずれかの号機で取り出し工法を確定し21年に取り出しを始める計画です。
(「しんぶん赤旗」2017年9月1日より転載)