東京電力福島第1原発4号機近くの井戸の水位が一時急低下し運転上の制限を逸脱したにもかかわらず、水位計の故障と誤って判断し公表が遅れた問題をめぐり、東電は8月30日、原子力規制委員会の検討会で、原因と対策を報告しました。水位低下は2日に発生し、3日になり実際に水位が低下していたと確認。水位低下の確認後、すぐに運転上の制限を逸脱していたと宣言しなかった理由について、東電は、保安規定の補足資料と他社の事例を参考にしたと説明しました。
規制委の更田豊志委員長代理は、「『参考』というが、逸脱宣言をさかのぼってしなくてもよさそうな部分だけ拾い読みしたと言うべきだ。あまりに稚拙」と厳しく批判しました。東電側は「ご指摘の通り」などと答えました。
水位計の故障と誤って判断した要因について、東電は、経験のない事象に対する想像力に欠けていたと述べました。出席した外部専門家は「現場でやっていることは、すべて経験のないことだ」と指摘。別の専門家も「ヒューマンエラーというより、それを誘発する背景要因があったのではないか。深掘りし検討を」などの声も上がりました。
また、井戸水の放射性物質濃度を3日に測定し、建屋地下の放射能汚染水が荘戸に「流出した可能性はない」と公表したことに対しても、更田氏は、なるべく影響がないと伝えようとしているのではないかと批判。「相手がどう受け止めるか推測、分析した上で情報発信している間は、東京電力は信用されない」と強調しました。
(「しんぶん赤旗」2017年8月31日より転載)