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“原発商売厳しい”メーカー側主張・・再稼働路線の矛盾も/有識者会合

 地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を踏まえるとして、2050年を見据えた国のエネルギー政策の方向性を検討する経済産業相主催の有識者会議「エネルギー情勢懇談会」の初会合が8月30日、開かれました。原発メーカーの委員からの「厳しい経営環境」を訴える意見など、原発再稼働路線の矛盾も露呈しました。

 会議では担当の資源エネルギー庁が「エネルギー情勢をめぐる状況変化」の資料を示し、原発再稼働の世論調査で反対と賛成の比率が2対1で変わらないことや、国内外で電力投資の主流が再生可能エネルギーになり、火力・原子力を上回っていること、福島第1原発事故後の世界の原発政策の変化などについて説明しました。

 原発のプラントもつくる日立製作所の中西宏明会長はメーカーの立場から発言。原発に関連し「商売として非常に厳しい」と述べ、海外でも新型炉開発でのトラブルで「ファイナンス(資金調達)環境をものすごく劣悪にした」と訴えました。

 一方、「再エネでコスト的にも問題が解決されても、原子力が必要なのか議論する必要がある」と枝広淳子・東京都市大学教授がいうと、坂根正弘・小松製作所相談役は「今の再エネは、とてもじゃないが代替エネルギーになり得ない」などと述べました。また、飯島彰己・三井物産会長は文書で「このままだと50年には原子力がほぼなくなってしまうことが予想される。原子力事業を維持していくにはどうすればよいかを議論していくことが必要」としています。

 委員はほかに五神真東京大学学長ら8人で構成。有識者会議と別に、30年を目標にエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」の見直しを検討する審議会があり、今月から議論を開始。原発新増設を求める意見が相次ぎました。懇談会で出た議論も必要があれば、「エネルギー基本計画」に反映されるとしています。

(「しんぶん赤旗」2017年8月31日より転載)