福島県沿岸部の楢葉町、双葉町、浪江町などの住民が東京電力を相手に損害賠償を求めている「福島原発避難者訴訟」(早川篤雄団長、原告数598人)の第25回口頭弁論が2日、福島地裁いわき支部(島村典男裁判長)で行われました。原告側は、川俣町山木屋地域の被害の現状について陳述しました。
川俣町の菅野清一原告代表は、今年3月31日に避難指示が解除されたものの、年間被ばく放射線量が1ミリシーベルトを超えるところが2044カ所以上もあることを映像も使って証言。山木屋では普通の生活ができないために戻れないのが実態だと陳述し、「黒い放射性除染廃棄物が入ったフレコンバッグが山積みされ、その数は62万袋におよび、一番条件の良い水田や畑の真ん中に黒い袋が置かれている」と告発しました。
菅野さんは「私たちは普通に暮らしたいだけなのです。穏やかに暮らす空間や生業(なりわい)があって、人々の信頼や生きがいがあってこそ、故郷なのです。それを根底から破壊したものの責任の重さは計り知れません。まさに歴史的犯罪です」と、被告を糾弾しました。
原告弁護団は(1)避難指示解除後の山木屋の現状(2)故郷喪失損害と避難慰謝料の違い(3)大阪市立大学の除本理史教授の証言の意義―などについて陳述しました。次回10月11日に結審する予定です。
(「しんぶん赤旗」2017年8月3日より転載)