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高浜原発再稼働・・住民の不安は置き去りなのか

 関西電力が、高浜原発4号機(福井県高浜町)の再稼働を強行しました。高浜3、4号機は昨年3月に大津地裁の運転差し止めの仮処分決定によって停止していましたが、3月に大阪高裁が取り消しました。それに基づく再稼働です。関西電力は3号機も6月上旬に再稼働させる構えです。

 大阪高裁決定は、原子力規制委員会の新規制基準を正当化し、これに適合していれば安全という、新たな「安全神話」を追認したものです。地震や津波の想定や安全対策、避難計画などへの不安は払しょくされていません。住民置き去りの再稼働は中止すべきです。

避難の対象人口は18万人

 高浜原発は、原発が集中する福井県に立地しています。避難計画の策定が義務付けられている30キロ圏内には京都府や滋賀県も含まれ、避難の対象になる人口は約18万人にものぼります。関西の水がめの琵琶湖も近く、ひとたび事故が起きれば甚大な被害が出る恐れがあります。福井県と高浜町だけという「地元同意」で再稼働を可能にすることは、極めて問題です。

 3、4号機は、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル」発電で、制御が難しいといわれます。運転開始から30年を超え経年劣化も心配されています。

 東京電力福島第1原発事故の後に停止していた高浜3、4号機は2015年の福井地裁で再稼働を認めない仮処分が出ました。それが取り消され、いったん再稼働しましたが16年、大津地裁の判断で3号機は再び停止させられました(4号機は再稼働した際、3日後のトラブルで停止中)。両地裁は新規制基準について「緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されない」(福井地裁)、「(新規制基準などが)直ちに公共の安寧となると考えることをためらわざるを得ない」(大津地裁)と根本的な疑問を突きつけました。両地裁の決定をなかったかのように再稼働を進める国と電力会社の姿勢は無責任です。

 昨年8月、高浜原発の事故を想定した広域避難訓練では、荒天のため船舶の運用を中止するなど住民がまともに避難できないことが浮き彫りになりました。

 1月には工事用の大型クレーンが倒れ、高浜2号機の燃料取り扱い建屋などを損傷する事故が起きたように関西電力の安全軽視の姿勢も重大です。

 安倍晋三政権の下で、九州電力の川内1、2号機、四国電力の伊方3号機が再稼働してきました。今回の高浜3、4号機に続き、夏以降、九電の玄海原発や関電の大飯原発の再稼働も狙われています。東京電力福島第1原発事故にまったく無反省な姿勢です。

この夏も電気は足りる

 安倍政権は、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けますが、原発を稼働させなくても電気は足りています。経済産業省は4月、この夏も昨年夏と同様、関西エリアも含め、全国で節電要請を見送ることを発表しました。再稼働を推進する政策に何の道理もありません。

 再稼働ノーの世論も多数のままです。3月の世論調査でも、再稼働反対が55%と賛成26%を大きく上回りました。安倍政権は国民を危険にさらす原発再稼働の推進をやめるべきです。

(「しんぶん赤旗」2017年5月18日より転載)