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核廃棄物貯蔵のトンネルが崩落 米北西部

地下トンネルの一部に約6メートル四方の崩落が見つかったハンフォードの核関連施設=5月9日、米ワシントン州(ロイター)

 「ワシントン=池田晋」米西部ワシントン州シアトルの南東約270キロにある核兵器製造関連施設「ハンフォード・サイト」で5月9日、放射性廃棄物の貯蔵に使われている地下トンネルが崩落しているのが見つかりました。当局は放射能漏れや、けが人はないとしていますが、反核団体などは「核廃棄物は制御不能」だと危険性を警告しています。

 同施設は1943年から主に核兵器に必要なプルトニウムの製造を続け、長崎に投下された原爆にも使用されました。87年に活動を停止。現在は8000人体制で除染を続けていますが、2060年までかかるとみられています。

 崩落したトンネルは、プルトニウムやウランを抽出する施設のすぐ近くで、地表面が約6メートル四方にわたって陥没。一時は緊急事態が宣言され、施設作業員に屋内避難命令が出されました。

 米反核団体の「ビヨンド・ニュークリア」は、米各地の核関連施設で近年、事故が相次いでいることを挙げ、「放射性廃棄物の管理は制御できない」と指摘しました。地元監視団体「ハンフォード・チャレンジ」のトム・カーペンターさんは、貯蔵タンクの老朽化が進んでいると指摘し、今回の崩落は「警鐘にすぎない」と地元メデイアに語りました。

 米CBSテレビは、第2次世界大戦後、数十年間にわたり米全土に乱雑に広がった核施設への「安全性の懸念を生じさせる事故」だと報じています。

 同サイトでは10日、作業員が崩落部の埋め戻しを開始しました。

(「しんぶん」赤旗2017年5月12日より転載)