国の地震調査委員会はこのほど、2017年版の「全国地震動予測地図」を公表したのに併せて、一部地域について大きな揺れに見舞われる人数の試算を示しました。
東京都と埼玉県にまたがる活断層「立川断層」。長さ33キロ、動いた場合の地震の規模(マグニチュード)は7・4と推定されます。今後30年以内の地震発生確率は1月1日時点て0・5~2%で、やや高い分類となっています。地震調査委の試算では、断層が動いた場合、震度6弱以上の揺れに見舞われる人は首都圏で1000万人程度に上る可能性があります。
東京都のこれまでの被害想定では、冬の場合で帰宅困難者は516万人余り、避難者も85万~100万人規模に達します。
東京都立川市は市内の避難者を最大約4万5000人と見込み、避難所を確保しました。市外から訪れ帰宅困難となる人は約1万7000人と推定しますが、滞在施設は約1万人分しか用意できていません。市の担当者は「着実に滞在施設の確保に努める」としています。
広島県は、中国地方の活断層「岩国-五日市断層」の己斐断層区間が動いた場合、死者は最大で約500人、建物の全壊は約1万3000棟と見込みます。建物倒壊で多くの死者が出ると想定しますが、避難場所となる県内の公共施設の耐震化率は2015年度末で78・7%。全国の90・9%より大幅に低くなっています。
広島県危機管理課は「耐震化は進める必要があるが、広島市では14年に土砂災害で多数の犠牲者が出た。複合災害の視点も忘れずに対策を進めたい」と話しています。
(「しんぶん」赤旗2017年5月2日より転載)