原発業界が、世論の反対で再稼働がすすまないことに、いら立っています。日本原子力産業協会(原産)の大会行(11日、12日)では、海外の原発業界を巻き込んで、再稼働推進を大合唱してみせましたが…。 (三浦誠)
原子力産業協会の大会
「外からみて、もう少しスピードをあげて再稼働することができるように思う」。世界原子力協会のアニエッタ・リーシング事務局長は原産大会で、そう訴えました。
進展なく焦り
原産は電力会社をはじめ、原発の建設で利益をえるメーカー、ゼネコン、自治体など424の企業・団体が会員です。原発の必要性をマスコミに訴える役割を果たしてきました。電力会社からの出向社員らで運営されています。会長は、今井敬・経団連名誉会長です。
あいさつで今井会長は政府に「将来にわたって原子力を活用し続ける意思を明確に示していただきたい」と要望。電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)は「確実な再稼働と40年超の運転(寿命の延長)に取り組む」。国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は「世界中が、日本の原子力分野の進展を大きな関心をもってみている」と述べました。まさに、再稼働推進の大合唱です。
原発業界が、ここまで強調する背景には、原発事業が狙い通りにすすんでいないことへの焦りがあります。
原産関係者は、こう指摘します。
「大会に少しも勢いがない。現状は、ほぼ再稼働の進展がないからだ。とくにBWR(沸騰水型原子炉)が再稼働する見込みはまったくない。□では気勢をあげたが、中身がともなっていない」
損失に触れず
原発業界の苦境はほかにもあります。大会初日は、東芝が2016年4~12月期の決算を公表した日でした。東芝は米国の原発事業で7166億円もの損失を計上。経営危機に陥っています。
東芝は、三菱重工、日立とともに、「御三家」とされる原発メーカー。原産に理事を出しています。
電力会社の元幹部は「原産大会で、今井氏と勝野氏は、東芝についていっさいふれなかった。さすがにおかしい」といいます。
米国の原発事業も順調ではありません。米原子カエネルギー協会のダニエル・リップマン副理事長によると、B年以降に運転寿命をまたずに5基の原発が早期停止しました。その理由を同氏は「米国は過渡期にある。(コストが高いという)経済性で閉鎖に追い込まれている」と説明しました。
前出の原産関係者は指摘します。
「米国は原発のコストが高いことを正直に説明する。日本はさばを読んで『安い』という。太陽光など再生可能エネルギーのコストはどんどん安くなるのに、原発は逆に高くなる。今後、民間企業が原発をつくるのは経済的にむずかしい」
(「しんぶん」赤旗2017年4月18日より転載)