開校して2年たつ福島県立ふたば未来学園高校(広野町)の演劇部が、震災と東京電力福島第1原発事故の後を生きる、自分たちの思いを伝える創作劇「数直線」の公演を重ねています。昨年10月の同校文化祭で初演。東京など5回の校外公演の最終公演が3月19日いわき市でありました。
「地震と津波、ありがとう」「原発事故よ、ありがとう」「家に帰して、ありがとう」と、わざと逆説的な表現で思いを押し出す「ありがとうゲーム」をしたり、境界線を引いて、帰れる、帰れないなどを選択したりするシーンもあります。
1月に帰還困難区域の自宅に6年ぶりに一時帰宅した生徒は「いまの脱け殻のような自分の、元の自分にそこで出会えた。でもまだ置いてきた」と語ります。「震災があって、つくり笑いをするようになりました」など、13人の生徒は「原発事故は終わっていない」とさまざまに発信します。
不登校になり東京から来て入学した生徒に向かい「私たちの何を知っているの」と問い、もっとわかりあいたいという気持ちを正面からぶつける生徒。自分も県外避難先でいじめを受けていたと告げます。
観劇した、ある同校2年生は「(帰還困難区域にあり)家に帰れない苦悩を本人から生で聞き、重々しい。アウェー感を覚えた。原発からそんなに遠くない、いわき市北部に住む私でも、よそごとのような感覚でいたのだろうか」といいます。
富岡町から避難している2年生は「人それぞれに思いがあるんですね」といいます。
公演は、いわき市の高校2校の演劇部との合同公演でした。
(「しんぶん」赤旗2017年3月21日より転載)