東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で、プレハブの応急仮設住宅で暮らす避難者は1月末現在、岩手、宮城、福島の3県で計3万5503人に上ります。5年前の2012年1月に比べ7割減、戸数は計1万7592戸で6割減となりました。
岩手県山田町の小規模な仮設住宅団地。約15人が暮らすプレハブ住宅は訪れる人もまばらです。住人の女性(83)は「1人暮らしの高齢者がほとんど。去年はお金を出し合い草むしりを業者に手伝ってもらった。周りと交流のない人もいる。夜中に体調が変わることもある」と気をもみます。
65歳以上の高齢者が占める割合は岩手が30・9%(1月末時点)、宮城30%(同)、福島42・9%(16年5月末時点)。岩手は県全体の高齢化率とほぼ同じですが、宮城は約4ポイント、福島は約14ポイントも高い。福島県生活拠点課は「自宅を建て直す意欲を失った高齢者が残りがち」と話します。
警察庁によると、3県では16年末までに、仮設で1人暮らしをしていた避難者230人が死亡。その58・3%に当たる134人が65歳以上でした。
福島県の内堀雅雄知事は「丸6年の避難生活は極めて長い」と指摘しますが、仮設住宅解消の時期は示せません。第1原発のある双葉、大熊両町や浪江町の一部などで、避難指示の解除時期にめどが立たないためです。
福島大の鈴木典夫教授(地域福祉)は「仮設は10~30代が少なく70代が主力の場所も多い。住人が減る中、相互チェックができず異変に気付きにくくなる。生活支援相談員を常駐させ、話を聞くなどの対策が重要だ」と話しています。
(「しんぶん」赤旗2017年3月8日より転載)