厚生労働省は3月1日、原発再稼働審査に関する電力会社の業務を残業時間規制の適用除外とした通達を31日で廃止することを都道府県労働局長に通知しました。日本共産党の国会議員団が、昨年10月から「過労死するほど働かせて再稼働を強行するなど許されない」と通達を撤回するよう追及してきた成果です。
4月1日から審査業務に残業時間の限度基準が全面的に適用されることになり、すでに提出されている残業協定(三六協定)は限度基準にあわせて再提出しなければならなくなります。
残業時間の限度基準は現在、大臣告示で月45時間、年360時間と定められています。しかし、「公益上の必要」があると厚労省労働基準局長が指定する業務については、限度基準を適用除外できるとしています。労働基準局長は2013年11月、九州電力の要望を受けて適用除外の通達を出していました。
適用除外となっているのは▽北海道電力・泊原発(1~3号機)▽関西電力・大飯原発(3・4号機)と高浜原発(3・4号機)▽四国電力・伊方原発(3号機)▽九州電力・川内原発(1・2号機)と玄海原発(3・4号機)▽東京電力・柏崎刈羽原発(6・7号機)の5電力・14原発です。
この問題をめぐっては、日本共産党の高橋千鶴子議員が昨年10月、衆院予算委員会で初めて取り上げ、倉林明子参院議員、真島省三衆院議員が繰り返し撤回を要求。高橋議員が2月27日に行った質問で、塩崎恭久厚労相が3月末で廃止すると答弁していました。
労働者守る本物の改革を・・高橋千鶴子衆院議員の話
原発再稼働のための業務を「公益上」やむを得ない業務として、労働基準局長決裁で通達を出していました。九州電力から相談され、同時期に審査を出していた原発まで除外してあげるなど、許せません。昨年10月の質問後、関西電力の審査担当課長の過労自殺が発覚し、老朽原発の延命のために過労死するという、あってはならないことが起きました。
通達の廃止は一歩前進です。企業の都合のよい抜け穴だらけの「改革」ではなく、労働者を守る本物の改革をめざします。
(「しんぶん赤旗」2017年3月2日より転載)