政府は、原発を「基盤となる重要なベース電源」として、将来にわたって活用し、「再稼働を進める」と明記した、エネルギー基本計画を閣議決定しようとしています。原発に対する基本姿勢について、二つの点を総理にただしたい。
第一は、安倍政権は、「原発ゼロ」という目標を投げ捨てるのかという問題です。民主党政権が定めた方針には、「2030年代に原発ゼロ」という政府としての目標が明記されていました。ところがエネルギー基本計画には、「原発ゼロ」という目標は影も形もありません。総理も、「原発依存度の低減」はのべても、「原発ゼロ」は一切口にしません。しかし、どんな世論調査でも、原発の今後について、「今すぐ廃止」「将来は廃止」をあわせると7~8割にのぼります。安倍政権の方針は、この圧倒的民意に背いて、将来にわたって原発との共存をはかるというものなのですか。しかとお答えいただきたい。
第二は、原発再稼働の問題です。原発事故の被害は、今なお深刻さを増し、福島では14万人もの方々が先の見えない避難生活を強いられています。事故は収束するどころか、放射能汚染水が制御できない非常事態が続いています。原発事故の原因は、いまだ究明の途上にあります。こうした状況のもとでの再稼働など論外ではありませんか。
再稼働をすれば、「核のゴミ」が増え続けます。エネルギー基本計画は、「最終処分」を「将来世代に先送りしない」としています。しかし、いったい日本のどこを「最終処分」の場所にするというのか。まったく見通しがないではありませんか。
最近の世論調査で、「安全性が確認された原発」の再稼働に、60・2%が「反対」と答えているのは、当然であります。総理自身、「(再稼働を)決断するときには秘密保護法以上に国民世論は厳しくなるかもしれない」とのべている通りです。総理にうかがいます。かりに国民の理解が得られなくても、原子力規制委員会が「安全」との判定を下せば、再稼働を強行するおつもりですか。
現在、すべての原発は停止しています。このまま再稼働せずに、廃炉に向かうことこそ、最も現実的で責任ある態度ではありませんか。
「即時原発ゼロ」を政治決断し、再生可能エネルギーの思い切った普及と低エネルギー社会への転換に力をそそぐことこそ、国民の命と安全に責任を負うべき政府が選択すべき道であります。答弁を求めます。
安倍首相の答弁・・(今後の原子力政策)
原発については、徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度は可能な限り低減するというのが基本方針だ。しかし、電力供給における海外からの化石燃料への依存度が第1次石油ショック当時よりも高くなっているという現実を考えると、そう簡単に、原発はもうやめたというわけにはいかない。
福島の事故も経験し、国民が原発の安全性に不安を持つのは当然のことだ。福島の事故の教訓を踏まえ、安全を確保することが大前提だ。その前提のもと、独立した原子力規制委員会が世界でもっとも厳しい水準の安全基準に基づいて、徹底的な安全審査を行い、これに合格した原発について再稼働を判断していくこととする方針だ。
高レベル放射性廃棄物の最終処分については、仮に原発をゼロにしたとしても、必要であることからは逃れられない。むしろ最終処分場をしっかり確保することこそが政治の責任だ。これまでのやり方を見直し、責任を持って最終処分場を確保すべく、科学的根拠に基づき国から適地を提示するなど、国が前面に立って取り組みを進めていく。