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ベトナム 原発計画を白紙撤回・・政府決定、国会で議論

【ジャカルタ=松本眞志】

 ベトナム国会は11月10日、南部ニントゥアン省での原発建設計画撤回問題について議論を開始しました。ベトナム政府が同日までに、同省原発建設計画を白紙撤回することを決定したことを受けたものです。

 同原発については、東京電力福島第1原子力発電所の事故を契機に、2014年着工予定が延期されていました。今年4月のグエン・スアン・フック首相の就任後、ベトナム共産党指導部と政府のあいだでこの問題について、安全性と財政の二つの面から本格的に検討が行われ、最終的に白紙撤回の判断となりました。

 政府は現在、国の借金を国内総生産(GDP)の65%以下に維持することを目標とし、15年末は62・2%に抑えていました。しかし、現地の経済専門家らは、原発計画が国家債務を将来的に増大させる要因となると指摘し、財政的観点から原発建設に警告を発していました。

 ベトナム国会は09年、ベトナム経済の成長に伴って、急増する電力需要を補うために、東南アジアで初となる原発建設を承認。ベトナム政府は10年に第1原発(2基)をロシアに、第2原発(2基)を日本に発注することに決めました。11年3月の福島での事故はこの動きに歯止めをかけ、環境影響評価の延長など安全性重視の姿勢に転換。昨年7月には津波による被害を防ぐとして、内陸への移設に変更していました。

(「しんぶん赤旗」2016年11月11日より転載)