ドイツ政府は11月7日、これまでの二酸化炭素(CO2)削減目標を大きく上回る「2050年までの気候変動対策計画」で一致しました。ロイター通信やドイツ・メディアが報じました。モロッコのマラケシュでは国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)が始まったばかりで、パリ協定からさらに目標を上積みしたドイツの決定は会議にも影響を与えそうです。 (片岡正明)
報道によると、ドイツ政府の計画では、2030年までにCO2の排出量を1990年比で55%削減と従来の40%削減に上積みします。さらに2050年には95%削減と大きく減らす目標です。
分野別では、エネルギー産業分野で30年までにCO2排出量を170~180トン、62~67%減らし、工業部門では130~133トン、53~54%を削減。運輸部門で95~98トン、40~42%、農業部門で58~61トン、31~34%を削減していきます。またCO2の排出量取引で最低価格を導入し、取引システムの効率化を促すとしています。
独政府閣内で計画に疑義をていしていたシュミット農業相が賛成に回ったもので、同相は11月7日、「ヘンドリクス環境相と私は、気候変動対策計画で一致した。農業も気候変動対策に大きく影響される」と語りました。計画は近く閣議決定され、法案として議会に提出されます。来週にはCOP22で紹介されます。
一方、90年連合・緑の党は、ドイツ国内の炭鉱の継続や石炭火力発電所への投資削減などには具体的に触れていないと批判しました。
(「しんぶん」赤旗2016年11月9日より転載)