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震源地付近に原発密集・・韓国・慶州地震 環境団体「老朽化原発廃炉に」

北朝鮮による5回目の核実験強行のニュースが放映されているテレビが並ぶ電器店=9月9日、ソウル(ロイター)
北朝鮮による5回目の核実験強行のニュースが放映されているテレビが並ぶ電器店=9月9日、ソウル(ロイター)

 地震が少ない韓国で9月12日、観測史上最大規模マグニチュード(M)5・8の「慶州地震」が起きました。現地メディアは、揺れに慣れていない韓国の人々を恐怖に陥れたと報じています。震源地の同国南東部、慶尚北道慶州付近には原発が密集しており、原発事故に対する住民の不安も大きくなっています。

(栗原千鶴)

韓国の原発・・

 現在4ヵ所(ハンウル=慶尚北道蔚珍郡、月城=服尚北道慶州、古里=釜山市、ハンビット=全羅南道霊光郡)の原子力発電所があり、24基が稼働中。2014年に閣議決定された第2次国家エネルギー基本計画に基づき進められている第7次電力需給基本計画では、29年の時点で35基まで増やす計画


 頻繁に地震が起きない韓国では建物の耐震が脆弱(ぜいじゃく)で、家具の転倒防止器具を設置している家庭も多くありません。余震が続くなか、不安な一夜を過ごした人も多かったといいます。

 震源地の慶州を含む釜山、蔚山地域には、月城原発6基と古里原発6基がある原発密集地帯です。それぞれ震源地から27キロ、50キロの地点でした。月城原発近くでは、放射性廃棄物処分揚が稼働したばかり。古里原発には1978年4月に運転を開始した国内で最も古い古里原発1号機(2017年6月に廃炉)があり、30キロ圏内に約380万人が居住しています。

7割の原発集中

 この地域には、大小60近い活断層の存在が確認されています。ロイター通信は今回の地震を伝える記事の中で、韓国にある原発の約70%がこの活断層がある南東部に集中していることについて、北朝鮮から少しでも遠い場所に建設したと指摘しています。

 政府は、地震が少ないことや耐震性も確保しているとし、原発は安全だと強調してきました。運営会社の韓国水力原子力(韓水原)は、韓国の原発はM6・5以上に耐えられるよう設計されているので心配はないとしています。

建設撤回を要求

 13日にソウル市内で記者会見を開いた環境団体は、「活断層が集中している震源地周辺では、M7以上の地震が起きる可能性があると専門家が指摘していると警告してきた」と強調。政府や韓水原に対し、2番目に古い月城原発1号機(1983年稼働)をはじめ耐震性の弱い原発の廃炉と、新たなリスクとなる新古里原発5、6号機の新規建設の白紙撤回を要求しました。

 野党議員らは次々と原発施設を訪問。最大野党「共に民主党」の金富謙(キム・プギョム)議員は視察後、寿命を過ぎた原発の段階的な廃炉と新規建設の中止を求めました。

 「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)前代表は、「200%の安全が保障されなければならない」と語り、耐震性施工や安全性強化などの予算増を主張していくとしました。

 1000万人超の人口を抱えるソウル市の朴元淳(パク・ウォンスン)市長は、フェイスブックに「大きな地震が起きたら、福島原発のような事故が起きない保証はない」と書き込み、ソウル市がこの問、取り組んできた再生可能エネルギー推進策が原発の廃炉を促進すると強調しました。

(「しんぶん赤旗」2016年9月20日より転載)