関西電力大飯原発(福井県)の基準地震動(考慮される地震の最大の揺れ)が過小評価された可能性を指摘している前原子力規制委員会委員長代理で地震学者の島崎邦彦氏は7月15日、東京都内で記者会見し、規制委が行った再計算結果について「納得していない。おかしい」と批判しました。
規制委は13日の定例会合で、再計算で得られた値は、関電が想定し審査で認めた値の範囲内に収まり、再稼働の前提となる基準地震動は過小評価ではないと結論づけました。
田中俊一委員長は同日の記者会見で、計算結果を島崎氏に説明し「結果を見て非常に安心したと言っていたという報告をいただいた」と述べていました。しかし、この会見について島崎氏は「誤解している」として、「規制委の議論と結論は納得できません」とする文書を規制委に送付していました。
会見で島崎氏は、関電が設定した同じ条件下で過小評価される可能性のある計算式を使わずに基準地震動を見直すならば、関電が想定した856ガル(ガルは揺れの強さを表す加速度の単位)を大幅に上回ると説明。最大で1550ガルになると推定し、規制委の再計算のやり方には問題があると指摘しました。「現在の基準地震動が過小評価されているのは間違いない」と主張し、再計算すべきだとしました。
規制委は15日、田中委員長と島崎氏が19日に面談すると発表しました。
(「しんぶん赤旗」2016年7月16日より転載)