原発地震想定・・過小評価 元規制委員の島崎氏指摘
原子力規制委員会の委員当時に地震や津波関係の審査を担当した島崎邦彦・東京大名誉教授(地震学)は6月13日、原発の基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)の算出に使う一部の計算式に問題があり、審査に合格した関西電力高浜原発など、主に西日本の原発で過小評価されている危険性があると指摘した。共同通信の取材に答えた。
原発審査では最新の科学的知見を反映する必要があり、審査の見直しにつながる可能性がある。島崎氏は今月、大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟控訴審が行われている名古屋高裁金沢支部に宛てて、同原発の見積もりに過小評価の可能性があるとの陳述書を提出しているが、他の原発でも同様の問題が起きる危険性があるという。
島崎氏は2014年9月に規制委の委員長代理を退任した後、この計算式の問題点を検証。4月の熊本地震で得られた詳細な観測結果を説明できないことから、計算式の問題点を確認した。島崎氏は「新しく分かった科学的知見として、この計算式を用いた原発の基準地震動を見直す必要がある」として、審査基準の見直しや審査のやり直しの必要性に言及した。
過小評価は能登半島以西の原発で可能性が高く、審査が相当程度進んだ関電大飯原発や九州電力玄海原発(佐賀県)も含まれる。
(「福井新聞」2016年6月14日より転載)
高浜1、2号の運転延長・・関電 補正書提出、合格へ
関西電力は6月13日、原則40年の運転期間を延長して再稼働を目指す高浜原発1、2号機について、最長20年の運転延長に関する補正書を原子力規制委員会に提出した。規制委は早ければ今月22日にも運転延長を認可する見通しで、60年運転の審査合格は国内初となる。
運転延長は、60年運転をした場合の設備の劣化評価や長期の保守管理方針などを審査。補正書はこれまでの審査内容を踏まえたもので、安全対策などの設備の詳細設計を示す工事計画が今月10日に認可されたことを受け、記載内容や文言を修正した。
2基が再稼働するには、7月7日までの期限内に新規制基準と運転延長の二つの審査に合格する必要がある。新基準の安全対策は、4月20日に規制委の許可を受けた。全ての審査に合格しても、関電は2019年10月まで対策工事が掛かるとしており、再稼働はそれ以降となる。(青木伸方)
(「福井新聞」2016年6月14日より転載)