【パリ=島崎桂】旧ソ連のチェルノブイリ原発事故30年を前にした3月24日、ドイツ、フランス、スイスの3カ国市民がスイス北西部バーゼルなどで、フランス最古のフェッセンハイム原発の閉鎖を求めるデモを行いました。
仏で最古 稼働39年
バーゼルはドイツ、フランスとの国境に位置しています。デモは各国間を流れるライン川上の七つの橋の上で行われ、それぞれ数百~千人が参加しました。
1977年に稼働を開始したフェッセンハイム原発はスイス、ドイツとの国境地帯にあり、事故が起きれば両国への影響は必至。独政府は先月、仏政府に同原発の閉鎖を求めていました。
オランド仏大統領は2012年の大統領選で同原発の閉鎖を公約しましたが、閉鎖と稼働継続をめぐる政府の姿勢は二転三転。現在、18年の閉鎖に向けた準備が進んでいますが、実現を疑問視する声もあります。
デモ参加者は、「原発いらない」などと書かれたプラカードを手にフェッセンハイム原発の即時閉鎖を要求。ダイ・イン(死者を模した抗議行動)を通じて原発事故の危険性を訴えました。
参加した市民団体の代表はデモに先立つ集会の中、「チェルノブイリや福島でみられたメルトダウン(炉心溶融)のような破局的な原発事故の恐れは、従来考えられていたよりも高まっている」と指摘。「フェッセンハイムはまだ閉鎖されていない。抗議を強めよう」と呼び掛けました。
チェルノブイリ原発事故は1986年4月26日未明、試験運転中に炉心溶融と爆発が起き、大量の放射性物質が漏れました。被ばくした事故処理作業員らの死者数は不明。現在も立ち入り規制が続いています。
(「しんぶん赤旗」2016年4月26日より転載)