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地球温暖化と原発・・大津地裁決定 地球温暖化で原発は大丈夫か

 原発固執勢力は地球温暖化対策を最大の口実にします。ところが、高浜原発の運転差し止めを認めた(2016年)3月9日の大津地裁決定は、運転再開に不安を覚える理由の一つに地球温暖化を挙げました。「地球温暖化に伴い、地球全体の気象に経験したことのない変動が多発するようになってきた」からです。決定は、原子力規制委員会の規制基準は温暖化の影響も考慮に入れるべきだといいます。

 同日、米海洋大気局は昨年の世界の大気中二酸化炭素(CO2濃度の上昇幅が過去最大だったとし「過去数十万年より急速で、自然の過程と比べると爆発的だ」と警告しました。

 地裁決定は「有史以来の人類の記憶や記録にある事項は、人類が生存し得る温暖で平穏なわずかな時間の限られた経験にすぎない」とも指摘します。温暖化による地球環境の急激な変化が、原発の過酷事故につながることはないのか。規制委はその危険性を検証したのか。重要な視点です。

 一方、安倍晋三政権が3月4日に発表した地球温暖化対策計画案は、極めて不十分な中期目標を示しただけ。2050年までの長期目標は盛り込みませんでした。首相は3年前″世界のCO2排出量を50年に半減させるため先進国は80%削減を″と提唱したのに。

 計画案は、規制委が認めれば原発の再稼働を進める姿勢です。CO2を大量に排出する石炭火力発電も野放しです。策定に関わった審議会委員からは「80%削減は非科学的だ」との暴言も飛び出しています。

 人類の未来を左右する温暖化対策に背を向け、温暖化が原発に与える影響を検討することもなく再稼働に突き進む。これが、「国民の安全を守る」と繰り返す政権の正体です。

(佐久間亮)

(「しんぶん赤旗」2016年3月15日より転載)