【ワシントン=島田峰隆】米西部オレゴン州で3月11日、石炭火力発電による電力供給を2035年末までに停止し、再生可能エネルギーによる発電を大幅に増やす法案が成立しました。米メディアは、期限を決めて石炭火力発電から脱却する点で「先駆的な法律」だと指摘しています。
オレゴン州のブラウン州知事は同日、州の最大都市ポートランドで、上下両院が可決した法案に署名しました。同知事は「オレゴン州は気候変動の危険を踏まえてクリーンエネルギー計画をつくったリーダーとして知られるようになる」と強調しました。
同法によると、州内の電気会社は、35年末までに石炭火力発電による供給を全面的に停止します。一方で太陽光や風力など再生可能エネルギーによる発電の割合を40年までに50%にまで引き上げます。
オレゴン州では現在、電力供給の約3分の1を石炭火力に依存しています。法案の成立によって同州は、ハワイやカリフォルニアと並んで米国内でも非常に野心的な再生可能エネルギー活用の目標を持つ州になります。
環境団体などは、昨年12月に国際社会が合意した温室効果ガス削減の新目標「パリ協定」に貢献するとして歓迎しています。米民間団体「憂慮する科学者連盟」(UCS)のジェフ・ディエット氏は米メディアに「低炭素社会に移行する新たな前例になる」と指摘。自然保護団体シエラクラブは「パリ協定合意後に米国でとられた法的措置の中で最も重要だ」と強調しました。
法案作成には州内の電気会社も参加しました。ポートランド・ゼネラル・エレクトリック社の最高経営責任者(CEO)、ジム・ピロ氏は、法案が石炭火力発電をやめる期限を明記している点に触れ、「消費者の考え方を反映した道理ある方法だ」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2016年3月14日より転載)