「今日を原発をなくす新たな決意の日に」。6000人が参加した、3月日夜の首相官邸前抗議(主催=首都圏反原発連合)。国会正門前では、東日本大震災で亡くなった人を追悼し、1分間黙とう。5野党の代表、福島の被災者、学者、学生、文化人ら多彩な人たちがスピーチしました。
福島の被災者がマイクで訴えました。その一人、亀屋幸子さんは双葉町出身。「今でも当時の映像は見れません」。福島第1原発から1・2キロの所に住んでいました。現在は都内に避難中です。「私を支えてくれたのは政府でも東電でもなく、みなさんです。これからも再稼働に反対し、たたかい抜きましょう」
「私は変わった」
「5年前も寒かったですね」。社会学者の上野千鶴子さんは当時を振り返りました。「みんな変わらなくちゃと思った。少なくとも私は変わった」。40年ぶりにデモヘ参加したと語ります。夏の参院選にふれ、「歴史の岐路に立っています。投票率が上がれば、政治が変わる。今日を決意の場にしよう」と訴えました。
SEALDs(シールズ)の諏訪原健さんは鹿児島県出身。震災当時は高校3年生でした。「揺れもなく、テレビを見ても実感がなかった」といいます。
「事故はいまだに続いている。再稼働は許されない」と語り、「(事故を直接経験していない)僕みたいな人が声をあげていかないと変わらない。他人のことを考えられる社会を実現していこう」と訴えました。
“政権は無神経”
城南信用金庫の吉原毅さんは、原発反対は多数の思いなのに、再稼働を進める安倍政権について「無神経で残念だ」と語りました。いまだに誰も事故の責任を取っていないことについて
「企業の常識から考えてもおかしい」とのべ、「再稼働は経済にとってもマイナスです。再生可能エネルギーへの転換を」と語りました。
季節が逆転したかのように冷え込んだ東京都内。東京都江戸川区から参加した塩野竹久さん(74)の口元からは白い息が出ます。
「この日くらいは」。数ヶ月ぶりに国会前に来ました。「いまだ多くの人が避難生活を強いられている。一日も早く原発をなくしたい」と話しました。
抗議行動には5党の代表も駆けつけました。日本共産党からは志位和夫委員長、民主党の福山哲郎幹事長代理、維新の党の初鹿明博国対委員長代理、社民党の吉田忠智党首、生活の党の渡辺浩一郎元衆院議員がスピーチ。共産党の笠井亮、藤野保史両衆院議員が参加しました。
(「しんぶん赤旗」2016年3月13日より転載)