広島と長崎の原爆被爆者18人を含む9都府県の67人が3月11日、四国電力伊方原発1~3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めて広島地裁に提訴しました。原告のうち3人は、再稼働の動きがある3号機の運転を禁止する仮処分を申し立てました。全国各地の原発差し止め訴訟で、被爆者が提訴するのは初めて。
訴状は「伊方原発で事故が発生する可能性は高く、原告は日常的に危険にさらされ、怯(おび)えながら生活しなければならない」と指摘。その精神的苦痛に対する損害賠償として、原発が廃炉されるまで原告1人当たり月額1万円を四国電力が支払うよう求めています。
原告や支援者ら約40人が「被爆地ヒロシマが被曝(ばく)を拒否する」と書いた横断幕を掲げて広島地裁までデモ行進をしました。
訴状の提出後、原告団長で被爆者の堀江壮さん(75)=広島市佐伯区=や弁護団の一人で脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士らが記者会見をしました。
堀江さんは「被爆者は70年たった今も、白血病や悪性リンパ腫にかかり、身を持って放射線の恐ろしさを知っている。原発の稼働で蓄積される高レベルの放射性廃棄物を取り除き、美しい日本を次の世代に引き継ぎたい」と決意表明。河合弁護士は「世界最初の被爆地の広島で提訴したことは、原爆も原発も放射能被害に変わりはないことを、世界にアピールするものだ」と訴えました。
(「しんぶん赤旗」2016年3月12日より転載)